はじめに
FeatureAgglomerationは階層的クラスタリングを用いた教師なし次元削減のモデルです。特徴量に対して階層的クラスタリングを行い(つまり通常のサンプルに対するクラスタリングと縦横の向きが入れ替わる)、似ている特徴量同士をマージします。マージの方法はデフォルトでは平均のようです。
使用例をあまり見かけませんが、直感的な次元削減方法なので何かしらの役に立つかもしれないと思って使ってみました。
sklearn.cluster.FeatureAgglomeration — scikit-learn 0.20.1 documentation
使い方
パラメータは以下の通り。
class sklearn.cluster.FeatureAgglomeration( n_clusters=2, affinity=’euclidean’, memory=None, connectivity=None, compute_full_tree=’auto’, linkage=’ward’, pooling_func=<function mean>)
色々いじれるように見えますが、主要パラメータは2つだけです。
- n_clusters
PCAでいうところのn_componentsです。変換先の次元数を表します。
- pooling_func
似ている特徴量をマージする方法。callableが渡せます。何もしなければ平均が使われるので、平均より気の利いた方法を思いつく人以外はそのままで大丈夫です。
あとは階層的クラスタリングのオプションが色々あります。それはそれで大切なものだと思いますが、今回は無視することにします。
実験
もう何番煎じかわかりませんが、irisの2次元写像で試します。
import matplotlib.pyplot as plt from sklearn.datasets import load_iris from sklearn.decomposition import PCA from sklearn.preprocessing import StandardScaler from sklearn.cluster import FeatureAgglomeration def main(): iris = load_iris() pca = PCA(n_components=4) ss = StandardScaler() agg = FeatureAgglomeration(n_clusters=2) pca_X = pca.fit_transform(iris.data) agg_X = agg.fit_transform( ss.fit_transform(iris.data)) print(pca.components_) print(agg.labels_) fig, axes = plt.subplots(nrows=1, ncols=2) axes[0].scatter(pca_X[:,0], pca_X[:,1], c=iris.target) axes[0].set_title("PCA") axes[1].scatter(agg_X[:,0], agg_X[:,1], c=iris.target) axes[1].set_title("FeatureAgglomeration\n{}".format(agg.labels_)) plt.savefig("result.png") if __name__ == "__main__": main()
動作原理、目的と用途を考えると、事前にスケーリングしておいた方が恐らく無難です。
printされた出力。
[[ 0.36138659 -0.08452251 0.85667061 0.3582892 ] [ 0.65658877 0.73016143 -0.17337266 -0.07548102]] [0 1 0 0]
FeatureAgglomerationは圧倒的に結果の解釈性が良いことがわかります。写像先の0次元目は元の0,2,3次元目の平均で*1、写像先の1次元目は元の1次元目ですね。こういうのはシチュエーション次第ですが、ちょっと嬉しいかもしれません。
出力される画像。
概ねPCAと同等に使えています。うまく言葉で表現はできませんが、FeatureAgglomerationの方はなんとなくギザギザ感?みたいなものがあります。平均するとそうなる、というのがなんとなくわかる気もするし、わからない気もする。
考察
結果の解釈性が良いのと、まがりなりにすべての特徴量の情報が結果に反映されるので、PCAより使いやすいシチュエーションはあると思います。分類前の次元削減とかで使ったときの性能とかは今回検討していませんが、たぶんそんなに良いということはないはず。
あとドキュメントをあさっていたら、こんなページがあったので、
Feature agglomeration — scikit-learn 0.20.1 documentation
真似してPCAでも同じものを出してみたら(コードはほとんど書き換えていないので省略。agglo = の行で代入するモデルをコメントアウトで切り替えて、あとlabels_の出力を外しただけです)、やっぱりFeatureAgglomerationはヘボかった(低次元で元の情報を保持することに関しては性能が低かった)です。
10次元に落として元の情報をどこまで復元できるかという実験。
まあ、これは仕方ないか。
まとめ
とにかく結果の解釈性の良さを活かしたい、とか、なにか特別な理由があって使う分には良いと思います。
*1:厳密にはどれか2つが先に平均されて、更に残りと平均されるはず。つまり3つの比重が違う順番はチェックしていないのでわかりませんが、children_属性をちゃんと読み取ればわかると思います